再任用者と雇用(失業)保険  

目次

1.再任用制度と雇用(失業)保険制度

. 雇用保険(失業保険)を受給する条件と手続き

3.退職臨任者と雇用保険

資料1.高齢者の失業給付金について

資料2.新しい高年齢求職者給付金制度

 

1.再任用制度と雇用(失業)保険制度

(1)公務員は一般的には雇用保険(失業保険)に加入しないが、週20時間以上勤務する再任用者は雇用保険に加入する。掛け金は、本人負担が1000分の5。ただし、4月1日に64歳を超えている場合には本人負担無し。(2020年まで)

(2)失業給付と年金との併給はなく、年金が停止される。ただし、65歳以上で退職した者、65歳を超えて手続きを取った者の年金停止はない。

人事院のQ&A

Q再任用職員には、雇用保険に加入することになるのですか。

A再任用職員には、退職手当が支給されないため雇用保険制度が適用されることになります。

雇用保険の加入要件を満たす職員は、次の通りです。

○フルタイム勤務職員

○短時間勤務職員のうち、31日以上引き続いて雇用される見込みであり、1週間当たりの勤務時間が20時間以上である者

2.雇用保険(失業保険)を受給する条件と手続き

失業給付金を受給するためにはハローワークでの手続きが必要。

 その1.受給するための条件の確認

 
  • ①雇用保険の加入期間が1年以上ある
  • ②働く意思と能力がある(雇用保険受給中に15日以上の入院等があるとその月は除外)
  • ③手続きは失業日の翌日から1年以内(特別な理由があると2年になることがある)

① 雇用保険とは会社等に就職する際に「1ヶ月以上の雇用期間」「週20時間以上の勤務」を満たす労働者が必ず加入する保険で、アルバイト・パートも強制加入になる。(正規雇用の公務員は雇用保険には加入しないが、臨時任用、週20時間以上の非常勤職員、再任用職員は強制加入、ただし、退職臨任は加入しない。) 雇用保険に加入していた期間が1年以上あることが条件の1つとなる。ただし、会社等の都合で退職した場合(解雇・リストラなど)は加入期間が6ヶ月以上となる。

*再任用職員は、1年間の期限のある雇用のため会社都合退職扱いであるが、1年以上雇用保険に加入して、次年度途中に自己都合で退職しても手続によって給付を受けることができる。

 もしも加入期間が短く条件を満たさない場合は、過去2年間にさかのぼり他の会社で雇用保険に加入していた期間を合算することもできる。

 ②の「働く意思と能力」とは、再就職する意思(求職活動を行っている)があり、またその能力(病気やケガなどがない)がある状態をいう。

 失業給付の申請をする際は、ハローワークで求職者登録をする必要があり、これで働く意思を示したことになる。(月に2回以上の求職活動をする必要がある。)

 なお病気やケガなどで今すぐに働けない状態であれば、失業給付の受給期間を引き延ばすか、または傷病手当を受給することができる。

64歳で離職して、65歳になるまで申請を伸ばしたい場合、離職して2ヶ月以内に給付期日の延長を申し出ると認められることがある。正当な理由が必要。(1年→2年へ)

*ハローワークでの求職活動は、パソコンで求人検索するだけでは求職活動には当たらない。求職相談窓口などで相談や検索をするか、個人で求人活動を行った場合には、事業所、日時、結果を記載しなければならない。

その2.手続きに必要なもの

 
  • ①離職票-1と離職票-2
  • ②マイナンバーの分かるもの(絶対条件ではありません)
  • ③身分証明書(免許証など) 注を参照
  • ④写真(縦3cm×横2.5cm2
  • ⑤印鑑
  • ⑥預金通帳またはキャッシュカード(給付金の振り込みのため)

①の離職票は、会社(役所)が作成しハローワークの受理印をもらった上で退職者に渡すもの。

離職票-2には在籍していたときの月額給与、退職理由などが記載されており、失業給付金の受給金額や日数を算出する基礎となる重要な書類。 


離職票-


離職票-




②のマイナンバーの分かるものとは、マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー記載の住民票のいずれか。 *マイナンバーを提出しなくても受け付けられる。

③の身分証明書はマイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、官公署が発行した写真付き証明書のいずれか1点、または、健康保険証、児童扶養手当証書などから2点用意する。
④の写真は直近3ヶ月に撮影したもので2枚用意。
⑤の印鑑はシャチハタ以外がよい。書類への捺印、記入ミスした場合の訂正印としても使用する。(実際はシャチハタでも大丈夫でした)
⑥の預金通帳またはキャッシュカードは本人名義のものを用意する。「ネットバンク」「外資系の銀行」は不可。

その3ハローワークへ

必要なものをそろえて、住居を管轄するハローワーク。ハローワークでの手続き手順

 
  • ①求職申込み
  • ②離職票の提出
  • ③受給資格の判定
  • ④受給説明会の日時決定


①では提出した離職票をもとに、ハローワーク職員が雇用保険の受給資格を判定する。このとき離職票に記載の「離職理由」に注意する。(民間の場合は、事実と異なる記載の場合がある)

④の受給説明会とは、雇用保険の受給資格が認められた人が参加する「雇用保険の受給方法など」についての説明会で、場所はハローワーク。日時もハローワークが指定する。通常は待機期間の7日間を過ぎてから数日後に開催される。受給者は必ず参加しなくてはならない。  

その4.受給説明会

ハローワークから日時を指定された受給説明会の流れは次の通り。

 

 ・①受給に関する注意点などの説明

 ・②失業認定日の決定

①受給に関する説明では、求職活動に関することや、雇用保険を受給するための流れなどが説明される。(重要な説明会)

②説明会が終わると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、次回ハローワークに行く日時(失業認定日)が決定される。自己都合退職の人は3ヶ月後、会社都合退職の人は1か月後となる。再任用者は、1年契約のため、会社都合退職となる。

その5.失業認定日指定された日時に、第1回目の失業認定を受けに行く。
65歳以上で退職した者は、失業給付一時金が支給される。(1回で終了)

65歳未満で退職した場合には、失業認定日までに2回の求職活動が必要となるが、第1回目は、既に2度ハローワークで手続き・説明をしているので給付される。同時に次回用の失業認定申告書が渡される。

 
  • ①失業認定申告書を提出(毎回提出するもの)
  • ②失業認定を受ける

①の失業認定申告書には、求職活動の実績や、収入があった場合の報告を記載する。認定を受けるには月に2回以上の求職活動が求められる。

*写真の張ってある、「雇用保険受給資格者証」と印鑑は常に持っている必要がある。

*失業認定申告書には、認定日前日までの4時間以上働いた日、及び4時間未満で収入のあった日を記載し、4時間未満の日は時間給(すべての手当てを含む)を計算し、受け取った給与を記載する必要がある。(認定された給付日が減るのではなく、その日数が先送りされる)

②の失業認定を受けると正式に雇用保険の受給資格者と認められ、失業給付金を受け取る権利が発生する。その時に、その月に支給される給付額が示される。

その6.給付金を受け取る

 失業認定日から5営業日後に指定した口座へ失業給付金が振り込まれる。初めてハローワークに行った日から、1ヶ月+2週間くらいで給付金を受け取ることになる。このような流れで、再就職が決まるまで、または給付日数が上限を超えるまで、4週に1回の失業認定日で報告書を提出し、5営業日後に給付金を受け取ることになる。
 
*再就職が決まっても、現在の勤務が20時間未満であれば、引き続き20時間以上の再就職を希望して、給付金を受け取ることができる。

その7.失業給付金はどれくらいもらえる?

雇用保険は「退職したときの年齢」「退職した理由」「在職中の収入」「雇用保険の加入期間」によって日額と日数が決定される。

具体事例

a.民間55歳/会社都合退職/月給50万円/30年加入・日額=7,775円 日数=330

b.64歳/再任用4分の3退職(離職時日額=9,032円)/1年間加入・日額=4,635円/日数=150日

c.65歳/再任用フルタイム、65歳を超えて退職した場合/1年以上加入・日額上限6000円×50日=上限30万円程度を一時金で受け取る

*失業給付金の日額は、退職日以前6ヶ月の平均月給から算出される。(すべての手当てを含む)

*日数を残して週20時間以上の再就職が決まったらどうなる?

雇用保険の受給中に再就職が決まると失業給付は打ち止めになる。ただし一定の日数が残っている場合は「再就職手当」を受け取ることができる。

結論

① 週20時間以上の再任用者が65歳を超えて離職した場合、雇用保険の手続きを取ると、失業給付一時金を受給できる。

② 雇用保険は、64歳までに離職して給付を受けた方が給付額は大きい。

③ 年金との併給は行われないが、65歳を超えてから手続きをすると、年金の支給停止は行われない。

④ 定年後1年以上再任用(20時間以上)を行った者で、年金の一部支給年齢に達しないとき、離職者、または20時間未満の再任用者はすぐに雇用保険の受給手続きを行う必要がある。

⑤ 今年の3月に20時間以上の再任用を終了した者は、すぐにハローワークで手続きを取る。

3.退職臨任者と雇用保険

退職臨辞任用職員は、雇用保険には加入していません。しかし、毎年受け取る退職金は0.522か月とわずかです。その金額と雇用保険で受け取ることができる金額に差があり、雇用保険のほうが多かった場合には、ハローワークへ行って一定の手続きをとり、県に提出をするとその差額を受け取ることができる場合があります。退職年齢など様々な条件によって受け取れるかどうか変わってきますので、県に聞いてみることが必要です。


資料1.高齢者の失業給付金について

1. 雇用保険の受給条件
雇用保険は会社を退職・失業の際に自動的にもらえるわけではなく、いくつかの条件と手続きが必要になる。
 まず、雇用保険の受給資格は以下のとおり。

・定年退職前に雇用保険に最低6ヶ月以上加入していること
65歳未満であること
・健康上問題なくすぐに働ける能力があること
・すぐに働く意志があること
・求職活動をしているが再就職できない状態であること


上記の条件を満たしている場合は、退職後に会社から渡される離職票や雇用保険被保険者証などを持参し、ハローワークで失業給付の手続きを行う。この手続きを行う場合は、最寄りのハローワークではなく、自分の住所を管轄するハローワークへ行く必要がある。
その後、毎月ハローワークで求職活動の状況を報告することで失業認定となり、雇用保険が支給される。

. 退職理由は自己都合か会社都合か

 雇用保険は退職理由が自己都合・会社都合のどちらであるかで所定給付日数が変わる。

所定給付日数は被保険者期間により変動する。

. 雇用保険の給付期間延長

再任用を終了し離職した者のなかには、しばらく旅行に行ったり趣味に打ち込んだりしてリフレッシュしたいという者もいるが、すぐに働く意志があり求職活動をしていないと、雇用保険を受給することはできない。

しかし、再就職について時間をかけて考えたい場合は、雇用保険の給付期間延長の手続きを取ることで給付期間を1年間延長することができる。これは、手当てがもらえる日数が増えるというわけではなく、給付の開始が延期できるという事である。

給付期間を延長するには申請期限があり、離職日の翌日から2ヶ月以内に雇用保険の給付期間延長を申請する必要がある。延長理由が終わったときにも、手続きが必要。

. 受給金額の概算

雇用保険の受給金額(基本手当日額)は、退職前の6ヶ月間の賃金を180(日間)で割った賃金日額から算出される。
 「基本手当日額」とは、失業給付の1日当たりの金額のことで、「賃金日額」とは、離職した日の直前の6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金から算出した金額のことを言う。

雇用保険の被保険者であった期間に応じて、90日~150日の期間で基本手当日額が給付される。基本手当日額には上限が設けられており、どれだけ高賃金だった者でも6,714円(20177月まで)が限度である。
81日に基本手当日額は毎年変動する。

. 雇用保険を受給するあいだは年金を受け取れない

ただし、65歳を超えて離職した場合、または、65歳を超えて手続きをした場合は雇用保険給付と年金を同時に受け取ることができる。
 高年齢者求職者給付金は、65歳前から引き続き雇用されていた被保険者が65歳以上で離職した際、一時金で一度だけ給付されるもの。
 基本手当日額の5割~8割の額を日額として、被保険者期間が1年以上の場合は50日、1年未満の場合は30日をかけた額が給付される。

資料2.新しい高年齢求職者給付金制度

2017年1月から、65歳を超えても雇用保険に加入できるようになった。
昨年までは、65歳以上の再就職では、新規に雇用保険に加入できなかったが、今年1月より雇用保険に加入できるようになった。

・一時金として支払われる。

・給付金額は、これまでの65歳以上での離職と同額(6か月以上1年未満=30日、1年以上=50日)。

・回数制限なし。短期間での転職を繰り返しても6か月以上の勤務期間なら支給される。

(注意)2018年に自民は65歳までの定年延長法を提出予定。70歳年金支給の布石ともいえる。

・65歳以上は、給与と年金の合計が47万円を超えない限り、年金の一部支給停止は行われない。