第8回定期総会

憲法や原発をめぐって活発な討論がおこなわれる

 5月25日(土)午後3時から4時半まで、高校教育会館の会議室で、昨年を超える34名の参加者で標記総会が開催された。開会後、吉井さんを議長に選出。代表挨拶で地代所さんはシニア会員が1,200名に増えたことを報告、ご自身はあと1年間の任期を頑張りますと挨拶された。来賓挨拶では、日退教からのお祝いメッセージを赤坂さんが代読して紹介した。園部高教組委員長は、分代の最中のため会議の合間を縫って挨拶され、「8%の賃金カットに対してストも辞さない」と表明してシニア会員の激励の拍手が起こった。
 議事に入って、中野渡事務局長から「2012年度運動を振り返って」と題して詳しい報告がされ了承された。続いて「2012年度決算及び会計監査について」幹事の平瀬さんからの報告と、監査の藤見さんからの報告があり了承された。「2013年度運動方針について」中野渡さんから役員会原案の提案があり、会員から活発な意見が出され、以下の修正がなされて拍手で承認された。
 ○「憲法改悪反対」に「安倍政権が進める」と加筆し、「とりわけ日本国憲法第96条の改憲阻止に向けて様々な運動に取り組む」という原案が承認された。
 ○「原発の再稼働を認めず」を「原発の再稼働及び原発輸出を許さず」と修正して承認された。
 ○「さらに原発で働く労働者の健康と労働条件を守るよう政府・関係機関に要請する」という原案について、今後の原発廃炉に向けた労働者の権利を守る意味を含めて承認された。
 ○「東日本大震災で被災した小・中学生への支援を行う」を「小・中・高校生」として、県内に避難している高校生も含めて支援するよう修正して承認された。 
 ○「非常勤公務員の権利拡大に取り組む」という原案は、再任用職員以外を含む意味で承認された。
 次に「2013年度会計予算について」平瀬さんから提案された。過去2年間、新規退職者1人当たりの支援金が5,000円だったが、今年度から3,000円に戻された。高教組運動へのシニアの参加者に応じた行動補助費が収入に加えられることになったとの中野渡さんの説明があり、承認された。永井光夫さんと早川芳夫さんが役員補充されるという提案も承認されて、最後に「2013年度第8回定期総会宣言」が新幹事となった永井さんによって読み上げられ、拍手で採択された。
 総会終了後、懇親会が行われ、参加者からシニアライフの現況が語られ、和やかな雰囲気のもとに午後6時
散会した。(三橋)

                                          運動方針を説明する中野渡さん



2012年度の活動を振り返って

 

 昨年1216日に投開票された衆議院選挙で自民党が圧勝した。その結果、改憲の可能性が高まってきました。改憲へのハードルを下げるために憲法96条の改正を目論み、そして、領土問題などを背景に国防軍の創設や集団的自衛権の行使など平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を定めた憲法の理念を否定しようとしています。

 沖縄では、オスプレイの強硬配備、普天間基地の辺野古への移転、428日を「主権回復の日」として政府主催で式典を開催するなど、政府への怒りが頂点に達しています。

 一昨年3月に起きた福島第1原発事故は、いまだに収束のめどが立たず、汚染水の漏れなど深刻な状況が続いています。原発反対の声がさらに全国に広がっています。しかし、事故原因が未解明のまま、安倍政権は再稼働に向けて環境整備を進めています。

 高齢化・格差社会が進み、20歳代の若者までも非正規雇用が二人に一人になる中、生活保護費を削減し、老人の医療負担を増やすなど、社会的弱者の人びとの生存権が脅かされています。

 引き続き運動を粘り強く展開していく必要があります。

 

1.組織拡大・充実、組織体制の整備をめざす取りくみについて

 '12年度には222名の新会員を迎えて900余名の組織となっています。総会の出欠ハガキに寄せられた会員の声を会報に「会員の今」として掲載したり、「シニアライフ」コーナーなどで会員の活動を紹介してきました。

 財政については、神高教からの支援金やシニア運動運営カンパに加え高校生命共済・損害保険(フジダナサービス)事務手数料を得ることができ、財政基盤の確立ができるようになってきました。

 

2.神高教・上部団体の活動方針を踏まえた諸活動への取りくみについて

1)憲法改悪反対、平和・人権・民主主義などの課題については、日本国憲法の基本精神である平和と民主主義の価値を大切にする視点から、憲法改悪への動きに抗してかながわ憲法フォーラム主催の「憲法を考える5.3集会」や「憲法を考える11.3県民集会」などに参加してきました。

 また、反原発運動については「さよなら原発10万人集会」(7/16)や「つながろうフクシマ!さよなら原発大集会」(3/9)などに積極的に参加してきました。今後、再稼働阻止・全原発廃炉に向けて様々な運動を展開することが必要とされています。

 オスプレ配備については、中央や神奈川県集会などに参加し、沖縄の闘いに呼応し、配備撤回に向けての取り組みをしてきました。

 

2)年金・医療・介護の課題については、前年度から引き続き取りくみました。地公四単産(自治労、日教組、都市交、全水道)と地方公務員退職者協議会(自治退、日退連、都市退連、全水道退、都退協)の主催する「914高齢者集会」(9/14)や新しい医療制度を早く作ることを求める「'12全国高齢者集会」(9/15)などに積極的に参加しました。

 こうした取りくみの中で、高齢期のくらしが心豊かで生き甲斐あるものにするために年金・介護・医療制度などの改善をはじめ、高齢者福祉の拡充と日本の社会保障制度の改善をめざして運動を進めることの重要性を確認することができました。

 

3)神奈川の教育問題や諸課題の取りくみについては、神高教第55次教研集会(12/8)や教育研究所・教育討論集会(11/17)などに参加し、現職組合員との討論に参加しました。また、横浜および藤沢の教科書採択問題については、様々な集会に参加してきました。

 

4)日本退職教職員協議会(略称:日退教、事務局次長:竹田邦明氏)の第40回総会が67日に開催されました。冒頭、北原会長から大震災の復旧の遅れの指摘があり、「政治家には民の声を聞ける資質が必要だ」などといった挨拶がありました。

 関東地区連絡協議会の第34回定期総会(6/8)、「関東ブロック交流集会」(9/28)、五者(日教組・全国退女教・日退教・教職員共済生協・日本教職員相互共済会)合同学習会(10/11)、さらに組織活動交流集会(10/12)に参加し、他県の退職者組織と交流を深めました。

 また、県内の退職者労働組合で組織されている神奈川シニア連合(幹事:中野渡強志氏)の第22回定期総会(11/28)で、神高教シニア運動の反原発方針を訴える機会を得ました。 また、3.11震災現地への研修旅行(10/3031)、さらに神奈川シニア集会(3/15)に参加するなど、県内労働組合の退職者組織との交流を図ってきました。

 

5)現職者への支援活動の取り組みについては、直接的な支援活動など引き続きの課題となっています。

 

6)再任用者などの取り組みについては、現職者の意向調査(10/1)前に「交流会」を開催し、経験談を交えて問題点を確認することができました。特に持ち時間についてガイドラインを堅持させることや特勤手当の不合理是正などの課題について、県教委に働きかけるよう神高教執行部に申し入れするなど取り組んできました。今後、神高教とともに引き続きの課題として取りくむ必要があります。

 

7)「高校生平和大使」派遣運動への協力の取り組みについては、カンパ活動を中心に取りくみました。この運動は、'05年より長崎の市民団体が中心となって高校生を平和大使として国連欧州本部に派遣しているものです。神奈川では'06年から実行委員会を作り、「高校生平和大使」の派遣に取りくんできました。神高教シニア運動から「高校生平和大使・神奈川実行委員会」に10万円を寄付しました。

 

8)地方自治、市民運動を担うことをめざす取り組みについては、労働相談ネットワーク運動に参加してきました。なお、神奈川労働相談ネットワークは神高教、国労、自治労などの県内労組と労災職業病センター、神奈川ユニオン協議会などで構成されており、幹事の横山滋さんが事務局次長として活躍しています。

 また、県内の教育支援や東日本大震災の各種ボランティア組織を会報・ホームページなどで紹介し、募集案内に取りくんできました。

 

(9) 東日本大震災で被災した小・中学生への支援を行う行動については、幹事の山際正道さんが代表となり、福島の子どもたちを支援しようと「福島子ども・こらっせ神奈川」を設立し、小学生16名中学生18名の計34名を神奈川で受け入れました。

 

 3.「シニア運動」活動交流を進める取り組みについて              

1)「かながわ中央メーデー」、「かながわ地域労働運動交流メーデー」さらに日常の神高教の運動に可能なところから積極的に参加し、現役世代との交流を深めてきました。

 

2)ホームページの積極的な利用を推進するために「掲示板」コーナーを一昨年度から開設してきましたが、一部の会員のみの利用になっています。

 また、第4回交流集会(9/29)は、シニア運動会員14名の他に次年度退職予定者の現職神高教組合員を含めて40名程度で開催しました。退職後の様々な生活スタイルについて話し合いするなど、会員の交流を図ってきました。

 さらに、'13126日に開催された神高教ライフプランセミナーで、神高教シニア運動から「家計からみたあるシニアライフ」というテーマで報告し、参加者から好評を得ました。また、現役50代を対象にした神高教ライフプランセミナー(2/9)にもシニア運動から同趣旨で参加しました。

 '13329日に開催された神高教退職者パーティーで「神高教シニア運動」への参加についてアピールしました。

 

(3) 運動活性化に向けての研究会・同好会の開設には、ゴルフ同好会が発足しました。



2012年度決算(案)

収入
項目 予算 決算 備考
繰越金 443,299 443,299
神高教よりの支援金 1,110,000 1,110,000 222人@5000
会員負担金(カンパ) 100,000 245,640 運営カンパ140,000
高校生平和大使カンパ101,000
会員からのカンパ4,640
上部団体等からの返戻金 20,000 83,000 日退教・神高教からの旅費
広告・事務経費 500,000 552,210 高校生命共済事務100,000
フジダナサービス452,210
その他 40,000 40,133 お祝い 40,000
利息133                      
合計 2,213,299 2,474,282


支出
項目 予算 決算 備考
活動費 900,000 838,735 封筒・ハガキ168,435
会報等送料236,320
会報印刷代198,400
総会・交流会 33,290
図書カード 100,000
ホームページ14,440
上部団体要請行動補助62,850
上部団体参加費25,000                 
事務局費 400,000 495,260 事務局旅費・行動費 495,260            
分担金 90,000 89,350 日退教 64,350
日退教関ブロ 10,000
神奈川シニア連合 15,000
他団体・運動カンパ 100,000 100,000 高校生平和大使 100,000
その他 200,000 62,420 振り込み手数料7,420
パンフ等55,000
予備費 523,299 888,517 次年度へ繰り越し
合計 2,213,299 2,474,282

監査報告
通帳および会計書類を監査した結果間違いありません
2013.4.19
会計監査 藤見睦彦
       山崎郁男



2013年度の運動方針

  

1.組織拡大・充実、組織体制の整備をめざす。

(1)既退職者への加入の働きかけを行う。

(2)事務局体制の整備をはかり、会報発行など教宣活動に取り組む。

(3)運営資金をまかなうため、会員からの任意カンパ活動を行うとともに

   独自事業の検討をおこなう。

 

2.神高教・上部団体の活動方針を踏まえて諸活動に取り組む。

(1)安倍政権がすすめる憲法改悪反対、平和・人権・民主主義などの課題に取り組む。

とりわけ、日本国憲法第96条の改憲阻止に向けて様々な運動に取り組む。

また、原発の再稼働と原発輸出を許さず、脱原発社会を実現するために様々な運動を展開する。

  さらに、原発で働く労働者の健康と労働条件を守るよう政府・関係機関に要請する。

(2)年金・医療・介護などの諸課題解決に向けて取り組む。

   ・後期高齢者医療制度の廃止をめざす。

   ・老後安心して生活できる年金制度の創設を要求するとともに公的年金控除・老年者控除の復元を求める。

(3)神奈川の教育など諸課題の解決に向けて取り組む。

(4)日退教(日教組退職者会)・神奈川シニア連合(県内労働組合退職者会)などとともに諸課題に取り組む。

(5)現職者への支援活動を検討し、可能なことから具体化をすすめる。

(6)非常勤公務員の権利拡大に取り組む。

 とくに、再任用者等の実態を把握し、労働条件等の改善について神高教とともに取り組む。

(7)次世代を担う若者の運動を支援する。

   当面、「高校生平和大使」の運動に協力する。

(8)地方自治、市民運動を担う取り組みを推進する。

    「労働相談ネットワーク」の活動に参加するとともに外部のボランティア組織を紹介  し、募集・派遣などコーディネイトする。

(9)東日本大震災で被災した小・中学生・高校生への支援を行う。

 

3.「シニア運動」活動交流を進める。

(1)神高教の活動に可能なところから積極的に参加し、現役世代との交流を深める。

(2)ホームぺージの利用や交流集会を開催し、会員同士の交流を深める。

(3)運動の活性化に向けて研究会や同好会の新規開設をめざす。

                            

 赤字は追加修正された部分




2013年度予算(案)
収入
項目 前年度決算 13年度 備考
前年度から繰り越し 443,299 888,517
神高教よりの支援金 1,110,000 735,000 245人@3,000
会員負担金(カンパ) 245,640 250,000
上部団体等からの返戻金 83,000 250,000 日退教・神高教からの行動補助
広告・事務手数料 552,210 500,000
その他 40,133 40,000 利息等
合計 2,474,282 2,663,517

支出
項目 前年度決算 13年度 備考
活動費 839,095 1,200,000 封筒・ハガキ、 会報等送料、会報印刷代、総会・交流会、図書カード、ホームページ等
事務局費 495,260 500,000 事務局旅費・行動費
分担金 89,350 100,000 日退教、日退教関ブロ、 神奈川シニア連合
他団体・運動カンパ 100,000 200,000 高校生平和大使派遣補助等
その他 62,420 200,000 備品、パンフレット
予備費 888,157 463,517
合計 2,474,282 2,663,517




2013年度 第8回定期総会宣言

私たちは本日第8回定期総会を開催し本年度の運動方針を確立し諸運動を展開することを確認した。

2012.12月の総選挙は、民主党の惨敗、自民党の圧勝、日本維新の党・みんなの党の躍進となり、国会の保守的傾向を顕著なものとする結果となりました。誕生した安倍政権は、保守色の強い政策を展望しつつ当面、景気回復などの経済政策に力を注ぐとしています。金融政策としては、日銀人事を通じて体制を固め、日銀が金融機関から国債などを無制限に買い上げるなどの政策を進めています。財政政策としては、赤字国債の大量発行に依拠し国土強靭化に名を借りた公共事業を大きく展開しようとしています。日銀がいかに紙幣をばらまこうが、企業が投資を行う、労働者の所得が上がり消費する状況とならなければ真の経済回復はおぼつきません。国債残高の際限ない増大は、先行きへの危機をはらむものですし、為替が円安に進むことは、食料品や原材料の輸入価格が増大し、中小企業・生活者の懐を直撃します。「アベノミクス」によって経済が真によくなるか、みんなが望むものは、安心して生活できることであり経済格差を拡大して地球を破壊してまでの経済発展ではありません。

TPP交渉の参加は、主権を売り渡すことでさえあるとまで言われています。

参加する、しないの問題点の議論が進められ判断されることを目指します。

自民党の憲法「改正」案は、憲法が本来権力を縛るとの立場から、国民を縛ると性格を一変させ立憲主義を危うくするものです。国防軍の創設、国民の諸権利剥奪・制限、天皇の元首化、等日本国憲法の破棄をいう石原維新共同代表と軌を一にするものと言えます。その本質的な牙は参議院選を見据えて着々と準備されており、教育委員会制度改悪による政治介入の強化、憲法改悪への下準備としての96条の改悪などが検討されています。

参院選をはじめ諸政治闘争で反原発、憲法改悪反対の勢力を結集した闘いが進められることを期待したいものです

東日本大震災によって生じた諸被害の復興は、依然として進まない状況にあり、原発事故の実相はいまだ解明が不十分であり廃炉への展望は全く見通せない状況にあります。安倍政権は、原発再稼働に向けた動きを強めるなど国民・労働者の生活を無視し大企業優遇に戦前回帰の特権階級重視の政策を強行しようとしています。私たち神高教シニア運動は、シニア世代の生活と、働く者の安心・安全を実現するために奮闘したいと思います。現職の神高教とともに日退教・日教組、神奈川シニア連合・連合神奈川などと連携しつつ組織的に諸運動に取り組んで少しでも課題解決に向けて前進するように努めます。

2013.5.25 神奈川県高等学校教職員組合シニア運動第8回定期総会




本年度からの役員に次の2名が追加補充されることが承認されました。

永井光夫 2011年度退職
早川芳夫 2012年度退職